ヒロアカのサー・ナイトアイが悪い意味で面白過ぎるという話
やあやあ。
今回は完全に今までとは全くジャンル違う話なんですけども。
"僕のヒーローアカデミア"って漫画皆さんご存知でしょうか。
通称ヒロアカ。蔑称として"僕ひで"(淫夢用語が元ネタ)が存在します。
ジャンプで連載しているんですが、人気を博した事で現在看板漫画として扱われている作品です。
人類が"個性"という超能力を身に付け、超人社会となった世界が舞台。
超能力で悪事を働く"ヴィラン"。
ヴィランに対抗すべく生まれた職業、"ヒーロー"。
そんな世界で"無個性"(超能力を持っていない)として生まれてしまった主人公、"緑谷出久"(通称デク)が一人前のヒーローになるまでを描く…。
そんな作品です。
この漫画、早速こんな事言うのもアレなんですが、作者の堀越氏(以降ホリー)がどうにもぶっちゃけストーリーや設定練るのがヘタクソ(直球を投げると地頭が悪い)で、
全体的にガバガバな上にホリー本人が陰キャだからか、キャラが言動や回想でドンドン陰キャとして"掘り下げ"られてしまう事に定評があり、
ストーリーが進行する度に物議を醸しては"ファンチ"(ファンからアンチへ落ちた読者の通称で、下手なにわかファンよりもヒロアカに詳しい)を生み出してしまう事でも有名です。
そんなヒロアカでも特に物議を醸した長編に"インターン編"があります。
つい最近アニメでも放映されたこの長編、大変悪い意味でネタ的に面白いので、ヒロアカを最初から読んでない人もここだけちょっと読んでみるのをオヌヌメします。
この記事ではインターン編のクソ面白いツッコミ所の一つとして、あるキャラクターを紹介します。
ネタバレを含むので、純粋にヒロアカを読んでる途中の方は気を付けてください。
【扱い切れなかった予知能力者】
ただでさえバトル漫画でなくとも、どんなジャンルだろうが扱いが非常に難しくなる超能力として"未来予知"というものがあります。
まぁ未来が分かってしまう能力ですね。
どう転んでも反則技なので、上手く予知能力者を動かすには作者の手腕が問われる能力です。
インターン編ではデクが"サー・ナイトアイ"というプロヒーローが率いる事務所にインターンしに行くのですが…。
このナイトアイの個性、何と"予知"です。
当たり前ですがホリーには予知能力者をキッチリ作品の中で活かせる程のスペックはなかった為、このナイトアイのせいで色々と波乱を呼ぶ事になります。
ナイトアイ周りは本当に「よくもまぁ一つの章でこれだけやれたなぁ」と思うぐらい矛盾しまくってて面白いので、皆さんも是非アニメ見るなり読むなりしてみて下さい。
滅茶苦茶面白いです。悪い意味で。
【わからねぇなぁナイトアイ!】
ナイトアイの個性、"予知"について一通り解説してみましょう。
- 一日に一回まで発動出来る。
- 対象に触れ、目を合わせる事が発動条件となる。
- 対象が未来に取り得る行動を一時間の間"見る"事が出来る。
- 見れるのは対象の周囲に限られる。
- 一度見た未来は絶対変わらない。変えようと動いても最終的には"見た"通りの結果になる。
お解り頂けただろうか…。
解りませんよねぇ!!解りませんわ普通。
途中まではまさに反則と言えるレベルの個性でしたが、
"未来は変えられない"という設定が追加された事により、事態はややこしくなっていきます。
【予知する必要ありゅ?】
そもそも「未来が変えられないのに"予知"する必要ある?」という問題。
誰でも思いますよねこれ。
まぁこれに関しては予め「何が起こるのかは分かる」わけですから、メンタル面には重大な影響を及ぼすに違いありません。
「お前は5分後にうんこを漏らす」って言われるのと突然漏らすのとは全然違うでしょう。
何が起こるのか分かるだけで変えようはないので、"お漏らし"を予知されたら漏らすしかないんですけどね。ひでぇ話だ。
ナイトアイ自身の発言によれば、変えようと動いても問題の先伸ばしのようになるだけで結末は絶対に変わらないらしいのですが、
これもまぁ普通に考えて無理があると言えるでしょうね。
例えば「お前は10分後にデパートに買い物に行く」という予知結果をナイトアイに告げられたとして、予知対象が「じゃあ死んでも行きません」と決断したとしましょう。
死んでも行かないとまで思っている予知対象が「デパートに買い物に行く」という結末になるには死活問題になるような急用がデパートになくてはならなくなります。
最初は買い物程度の用事だった事柄に対して事象干渉し過ぎと言わざるを得ません。
てか見ただけで未来が確定するという事自体事象干渉が過ぎます。
こいつ一人の個性で因果律捻じ曲げ過ぎです。
【メタ的な視点】
そもそも何で未来が変えられなくなったのかですが、
ナイトアイの口から明かされたのは登場からしばらくして散々"予知"した後の事でした。
ナイトアイはかつてNo.1ヒーローだった"オールマイト"の"サイドキック"(相棒)だった事があるのですが、
敬愛するオールマイトを心配してこっそり予知を使った際に「彼が凄惨な最期を迎える」未来を見てしまいます。
彼はその未来を変える為にあれこれ自分の"個性"を試行していたようですが、
未来を変えられた事は一度もなかったそうです。
尚、インターン編ではナイトアイがこの章ラスボス、"オーバーホール"(以下オバホ)を予知した際にデクが死ぬ未来を見るのですが、
デクが"謎パワー"(本編でもホリー特有のハッキリしない漠然とした憶測で語られており、本当に謎のパワー)でその予知を捻じ曲げてオバホに勝利します。
まぁ要するに誰がどう見ても「オールマイトが凄惨な最期を迎える」という設定、
「デクが未来を捻じ曲げる展開」を作る為に追加された設定にしか見えないわけです。
ですがその場のノリで後付けしたであろう未来を変えられない設定により、
これを打ち明ける前のナイトアイの言動に矛盾が生じまくる事になります。
【お見通しみたいな振る舞い】
インターン編序盤、ナイトアイはデクの実力を試す為に一戦交えます。
この時、やはりデクに"予知"を使用して攻撃を避けまくって完封勝利。
闘いの最中、「私の「予知」を"攻略出来ない事実"に対して」という台詞をどや顔で吐くのですが、これもまぁおかしな話です。
"予知"したところでナイトアイがデクの攻撃を避ける未来は確定してるので、
要は"予知"なんぞなくてもナイトアイは素でデクの攻撃を避けられるフィジカルを持っていた事になります。
自分の鍛え上げられた肉体で避けてるだけなのにさも"予知"のお陰かのような物言いをしていますね。
殴られる未来が見えてたらどうするつもりだったのだろうか。
【事前におまえたちを"見て"いれば防げた】
インターン編序盤でデクは先輩のミリオと共にオバホに出会すのですが、
この際二人はヒーローとしてもチキンとしても中途半端な対応をしてしまい、
ナイトアイが追っていた事件の捜査を難航させる事になってしまいます。
二人はこの件をナイトアイに報告して謝罪するのですが、「事前におまえたちを"見て"いれば防げた」などと訳の分からない事をのたまいます。
"見た"ところで未来は変わらないのに見ていれば防げたってどういう事なの…。
わからねぇなぁナイトアイ!
【そもそも個性以外の設定もおかしい】
ナイトアイのおかしな設定は個性"予知"に限った話でもありません。
まぁどのバトル漫画も最終的には鍛え上げられたフィジカルが物を言うパターン、
所謂"フィジカルお化け"が最強クラスに存在する事が多いです。
ワンピースなんかも結局は"覇気"が登場した事で無能力者でも能力者と互角に渡り合えるようになっています。
むしろ海水等の弱点が無い分"フィジカルを限界まで鍛えた無能力者が最強なんじゃないか説"まで浮上する始末です。
実際ガープのじいちゃんとかあんなんもし海賊サイドだったらどうやって拘束すんねんってレベルですからね。
ヒロアカでも最強と言われていたオールマイトの個性、"ワン・フォー・オール"(以下OFA)はざっくり解説すると「爆発的に力を引き出して身体能力を向上させる」という脳筋極まりない代物になっています。本当に頭悪そう
ちなみにデクはオールマイトからこのOFAを譲渡されており、
岩盤を粉砕するパワー、リアル壁キックで全方位空間攻撃を行える程の機動力を持っています。
対するナイトアイは"予知"するだけの個性で身体能力が向上するような能力は何も持っておらず、
身体の構造も一般人と同じ筈なのですが、予知の特性上「素でデクの攻撃を避けられる」程のフィジカルを持っている事になるわけです。
おかしいやろ。
鍛えられるにしても限度があるはずです。しかもナイトアイは見ての通り細身の体躯です。
【ハンコミサイル】
更にナイトアイのフィジカルの強さを見せ付ける場面があります。
画像はナイトアイがハンコを豪速球で投げて巨体のマッチョ(のコピー)を吹き飛ばしている場面です。
ちなみにナイトアイはハンコの事を何故か"押印"と言っているのですが、
"押印"とは「ハンコを押す事」であってハンコそのものは"押印"とは言いません。
インテリ系の見た目なのに日本語が怪しいです。
ナイトアイに限った話ではなく、ヒロアカは全体的に言葉遣いが独特というかまぁ悪い意味で癖があるので、
これもよくファンチに揚げ足を取られては槍玉に上げられます。
さて、画像の通りこのハンコは質量5kgという何で出来ているのか非常に気になる重量を誇っているのですが、
ナイトアイは結構な数を携帯しているようです。
しれっと肉弾戦でデクの攻撃を素で避けまくっていた理由が後付けされていますね。
まぁ重りを付けて身体を鍛えているというのはバトル漫画ではありがちな展開ですが、
このナイトアイに至っては重量物を飛び道具に使ってしまうというヤクザも真っ青な化け物っぷりを見せ付けています。
ヒロアカはナイトアイの他にも個性を無効化するだけの"イレイザーヘッド"や他人の血で変身するだけの"トガヒミコ"とかが居ますが、
こいつらの動きは「まだ分かる」ぐらいに収まっており、
サポートアイテムも装備しているのでまだ"OFA"の顔が立ちます。
ナイトアイはそもそもアイテム自体ゴリラじゃないと扱えないようなゲテモノであり、
一般人でも鍛えるだけでここまで行けてしまうとなっては"OFA"を継承したデクの立つ瀬がないです。
これ程になると「鍛えてないのが悪い」という身も蓋もない言い分がだいたいの事象に対して罷り通ってしまうようになります。
尚このハンコミサイルですが、無駄に現実的な描写が多いこの漫画では取り分け高火力な部類に入る攻撃です。
そもそも見ての通り実質レーザービームみたいな攻撃なのですが、
こんな凄いレーザービームを放てるような"個性"を持ったキャラ自体が希少な上に、
レーザービーム出せるような奴はだいたい最強クラスの位置付け。(No.1ヒーローのオールマイトは超人的なパワーで拳を振る事による風圧を飛び道具にしたり、No.2のエンデヴァーは火炎を纏った拳を振り抜いてレーザービームにしたり)
更にこの二人はこれらの攻撃を"必殺技"として扱っており、
ちゃんとした技名も付けられているのでまさに波動拳的なノリ。
ナイトアイのハンコミサイルは特に技名とか設定されているわけでもない→+Pとかで出る"レバー入れ特殊技"ぐらいの勢いで使用しています。
つまりナイトアイは生身で最強クラスの実力を誇るというわけです。作者の人そこまて考えてないと思う
ついでに"インターン編"では前述のイレイザーヘッドも同行していたので、
「イレイザーとナイトアイが組んで個性消してからハンコミサイルやってるだけで無双出来たんじゃないか」とよくツッコミが入りますが何故かこの二人がペアを組む事はありませんでした。無能
【プロ意識が低いのでは?】
敵の本拠地に乗り込むにあたって作戦会議を開く場面があります。
この際、「どうせ乗り込むんやし誰か"予知"しといた方が作戦立てやすいんでね?」というごもっともな意見が出るのは想像に難くないですが、
ナイトアイはこの要求を頑なに拒み続けます。
理由が「一度見た未来は変えられないので危険だから」「本来はもう勝ち確みたいな場面でダメ押しに使うものだから」←?🤔、「万が一でも誰かが死ぬところとか見たくないから」という人命を守るプロヒーローとしては余りにも甘ったれた理由で、
当然会議に参加していたヒーローからも非難されてしまいます。
それでもナイトアイは「ダメだ」と"予知"の使用を拒否。
結局突入前に仲間の未来を見る事はありませんでした。
この「ダメだ」はナイトアイの無能っぷりのインパクトが非常に強い台詞で、
リアルタイムでは「矛盾」、「無能」と並んでGoogle先生のサジェストに表示されてしまう程の迷言でした。
ナイトアイが"予知"を拒んだのは「オールマイトの凄惨な死を"見て"しまった事によるトラウマ」が原因で、
実際これから死地へ乗り込もうという段階での作戦会議なのでまぁ気持ちは分かるのですが、
死人が出たら出たでその方が後味悪そうなものです。てかそんなんで責任取れるのかお前
メタ的な話をするとここでナイトアイが"予知"を使用してしまうと先の展開がつまらなくなってしまうからでしょうが、
もっと上手く出来なかったものでしょうか。
ちなみにこの場面でナイトアイをひたすら喧嘩腰で非難していたヒーロー、"ロックロック"(色黒の男性)ですが、
"嫌なヤツ"的な描かれ方をしているものの、
メインキャラがひたすら「?」となる腑に落ちない言動を繰り返すこの作品でも大変貴重な"正論しか言わない男"であった為、
一般読者、ファンチを問わずコアな人気が有り、
"正論マン"と呼ばれ親しまれています。
【扱い切れなかった末路】
ナイトアイはインターン編終盤、オバホの攻撃で致命傷を負ってしまいます。
この怪我が原因でまぁ死んでしまい、ヒロアカ本編からは退場させられしてしまうのですが、
病院に搬送された後に極太のチューブを大量に腹に突っ込まれている絵面が非常にシュール(通称:油田)で、
「扱い辛かったからホリーに罰ゲームをやらされてるのでは」等と茶化される事になる羽目に。
実際退場の仕方としてはかなり雑な部類なので、ホリーももう叩かれるに叩かれまくっているナイトアイ周りには早く決着を着けたかったのでしょう。自業自得やけど
この罰ゲームは"油田の刑"と呼ばれています。
しかもナイトアイはこの時、一日に一回しか使えないはずの"予知"を既に戦闘中一度使用した後ミリオに使用するというガバガバっぷりを披露した為、
最後の最後までガバガバだった事がブレなかった点は一部の読者に評価されています。
ちなみにイレイザーヘッドがナイトアイの容態をデクに伝える際、
「受け入れるしかない」という色々と悪い意味で受け入れるしかない事が多いヒロアカ的に非常に汎用性が高い台詞を言うのがまたシュール。
インターン編はナイトアイ以外にも色々としょうもない粗が目立つのですが、
そういったものに対する指摘には「受け入れるしかない」というレスを返すのがお約束。
受け入れるしかないのですが、「受け入れるしかない」で雑に退場させられているナイトアイも流石に不憫です。受け入れるしかない
ここ、読むと「わりとナイトアイどうにか助けられたんじゃないの?」って場面なのが余計に笑いを誘います。受け入れるしかない
【わからねぇなぁナイトアイ!(2回目)】
ナイトアイは事切れる間際、デクに「お前がオバホに殺される未来を見た」という事を打ち明けるのですが、
この時のナイトアイの「未来を変えようとする意志みたいなエネルギーがデクに収束して未来が捻じ曲がったんじゃないか?」というあまりにもふわっとしたハッキリしない、あくまで憶測は憶測という域を出ない漠然としている解説も物議を醸す事態に。(前述の"謎パワー")
「結果…なんじゃないか…」とかホリーナイトアイ本人もあんまり自分の発言に自信が無い様子です。
そもそも「何でナイトアイにそんな事がわかるの?」って話なのでこれに関しては完全にナイトアイの妄想に過ぎません。作者の人もわかってなさそうだししゃーない
もっと言うとこの程度で未来が変わるならデクなんぞより余程人望があるNo.1ヒーローオールマイトの凄惨な死などという未来はみんなで願えば変えられるんじゃないかという話にも発展します。
総じて未来が変わった理由付けがガバガバの上に漠然としており、
読者からは「ナイトアイの絵空事」という事で片付けられています。
【自分を予知能力者と思い込んでいる精神異常者説】
「言動の整合性の無さ」、「変わらないはずの未来が変わった(精度がガバガバ)」、「そもそも未来を見る必要も無かった」、「やたら高い身体能力」というナイトアイの特徴から、
"自分を予知能力者と思い込んでいる精神異常者説"が浮上するどころか、
"自分を予知能力者と思い込んでいるフィジカル強化系能力者説"まで囁かれる始末。
サー・ナイトアイ、最期までガバガバな男でした。
そんな彼が退場した回の煽りがこちら。
おやすみ、ナイトアイ。